旧岩崎久彌末廣農場別邸公園

土に還り、本質を耕す。

近代和風の別邸が佇む、

晩年を過ごした住まいへ。

末廣別邸

国道沿いの喧騒を抜け、林に抱かれた一画に足を踏み入れると、空気がふいに澄みます。
簡素で、けれど隅々まで神経の行き届いた近代和風の別邸。
ここは、三菱を率いた人物が拓いた広大な農場の傍らに、ひっそりと構えられた住まいです。豪奢な迎賓の館ではありません。
日本の農業と畜産の未来を見据え、土と家畜に向き合った人の素顔が、今もここに息づいているかのようです。
凝り固まった日常の視点が、土の匂いとともにほどけていくはずです。

国道沿いの喧騒を抜け、林に抱かれた一画に足を踏み入れると、空気がふいに澄みます。簡素で、けれど隅々まで神経の行き届いた近代和風の別邸。ここは、三菱を率いた人物が拓いた広大な農場の傍らに、ひっそりと構えられた住まいです。豪奢な迎賓の館ではありません。日本の農業と畜産の未来を見据え、土と家畜に向き合った人の素顔が、今もここに息づいているかのようです。凝り固まった日常の視点が、土の匂いとともにほどけていくはずです。

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トキメクもの

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静けさに宿る、

暮らしの記憶。

  • 窓にはめられたガラス
    A century reflected in glass window

    百年を映す「ガラス」

    窓にはめられたガラスは、その多くが百年前のものだといいます。わずかな揺らぎを帯びた透明と、視線をやわらかく遮る曇りの面が、場所ごとに選び分けられている。光が通るたび、現代の均質なガラスにはない陰影が生まれます。簡素な佇まいのなかにも、こうした細やかな意匠が静かに息づいています。

  • 洋式の浴槽
    A Western bathtub from Taito

    台東区から渡ってきた「洋式の浴槽」

    別邸の随所に、ほのかな西洋の気配が宿ります。なかでも目を引くのが、東京都台東区の旧岩崎邸から運ばれてきたと伝わる洋式のバスタブ。つい先ごろまで使われていたかのように美しく残っています。都心の邸宅とこの農場が、ひとつの暮らしの記憶でつながっていたことに気付かされるはずです。

  • 耐震の工夫
    State of the art earthquake resistance

    時代を先取りした「耐震の工夫」

    当時としては珍しい鉄の補強材が随所に入り、現代に通じる石膏ボードをいち早く取り入れたとも伝わります。関東大震災を経て、華やかさよりも住む人の安全を見据えた選択だったのでしょうか。その名残は柱や壁の細部に今も静かに残っています。

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おすすめの過ごし方

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土と時間に、

寄り添うひととき。

  • 01

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    別邸の主屋に、
    晩年の暮らしを読む

    別邸の主屋へ足を踏み入れると、台所には当時のオーブンや蛇口がそのまま残り、上流階級の近代的な生活文化を、飾り気のないかたちで今に伝えています。同じ設計者が手がけたと伝わる小岩井農場の別荘とは、間取りや造作によく似た面影があるのだとか。遠く岩手と千葉、二つの農場が、一人の設計者を介して静かに響き合っていたことに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

    別邸の主屋に、晩年の暮らしを読む
  • 02

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    蘇った庭園で、
    視座を切り替える

    庭園は、記録をもとに樹木の配置や種類を調べ上げ、かつての姿へと丁寧に再現されたもの。地形のままに任せず、眺めの変化を計算して起伏が設えられています。奥には林が広がり、静かな野趣が漂う。整えられた美と自然の気配が混じり合う散策路を歩けば、土や緑とそっと溶け合うような安らぎに包まれるはずです。

    蘇った庭園で、視座を切り替える
  • 03

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    季節の彩りと、
    自然のいとなみに出会う

    梅雨どきには、六義園から受け継がれた古品種の紫陽花が園を彩ります。三種が大切に育てられ、岩崎家とのゆかりを今に伝える花です。林にはいつしか鳥が集い、近ごろはフクロウまで棲みついたのだとか。そのおかげで庭を荒らしていたモグラが姿を消したといいます。人の手と自然の循環が静かに響き合うこの場所では、運がよければ思いがけない出会いが、五感をやさしく刺激してくれるでしょう。

    季節の彩りと、自然のいとなみに出会う
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その場所の物語

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千葉の近代農業

発祥の地

1912年、三菱第三代社長・岩崎久彌はこの地に末廣農場を拓いたと伝わります。
それは隠居の慰みではなく、農と畜産の改良を志した、模範的な実験農場でした。
養豚・養鶏に力を注ぎ、なかでも豚の中ヨークシャー種は、今日の希少なブランド豚「ダイヤモンドポーク」へと受け継がれています。
さらに、ここで育てられたスイカやニンジンは、日本有数の生産量を誇る富里の特産へと実を結びました。
農業と畜産、その両輪で千葉の近代農業発祥の地と称されるこの農場の歩みは、富里の恵みの礎を築いたのです。
久彌が別邸に身を寄せたのは晩年のこと。注いだ志は、土地の実りとして今も生き続けています。

1912年、三菱第三代社長・岩崎久彌はこの地に末廣農場を拓いたと伝わります。それは隠居の慰みではなく、農と畜産の改良を志した、模範的な実験農場でした。養豚・養鶏に力を注ぎ、なかでも豚の中ヨークシャー種は、今日の希少なブランド豚「ダイヤモンドポーク」へと受け継がれています。さらに、ここで育てられたスイカやニンジンは、日本有数の生産量を誇る富里の特産へと実を結びました。農業と畜産、その両輪で千葉の近代農業発祥の地と称されるこの農場の歩みは、富里の恵みの礎を築いたのです。久彌が別邸に身を寄せたのは晩年のこと。注いだ志は、土地の実りとして今も生き続けています。

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岩崎家の人物紹介

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役割を退いてなお、

本質を耕し続けた人。

岩崎 久彌

岩崎久彌

(三菱第三代社長)

久彌について残された資料は、けっして多くありません。それでも、この別邸と農場に刻まれた痕跡から、その人となりを想像することはできます。三菱を率いる立場にあった久彌が、晩年に身を寄せたのは華やかな表舞台ではなく、土と向き合う農の営みでした。彼にとって農業は、国の土台を支える本質的な事業だったのではないでしょうか。だからこそ自らの食べる分を自らの畑で育てることも厭わなかったのかもしれません。見せかけの豊かさより、地に足のついた本物を。そんな生き方が、この別邸の静かな佇まいから想像されます。

都会の速さから、

土の時間へ。

役割や肩書きを脱いだとき、人は何に手を伸ばすのでしょうか。

久彌が最後に選んだであろう「土」の傍らで、季節の花と林のざわめきに身を浸す時間。

ここには、急がない豊かさの輪郭があります。
門を出るころ、あなたの中で何かが、静かに根を張りはじめているはずです。

アクセス

旧岩崎久彌末廣農場別邸公園

千葉県富里市七栄650-25(別邸公園)

  • 隣接する観光・交流拠点施設「末廣農場」:富里市七栄650番地206

  • 東関東自動車道「富里IC」より車で約10分、「酒々井IC」より車で約15分(カーナビは別邸の所在地「富里市七栄650-25」で設定)

  • 京成本線「京成成田駅」中央口5番線より「千葉交通 本城台線」乗車、「末広」バス停下車、徒歩約10分

インフォメーション

開園時間:

    10:00〜16:00(最終入園15:30)

    ※公開日・公開範囲は整備状況や天候により変更となる場合があります。来訪前に最新情報を要確認。

休園日:

月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始ほか

入園料:

    無料

    ※旧岩崎家末廣別邸は有料(大人200円/中学生以下は無料)

駐車場:

隣接する観光・交流拠点施設「末廣農場」の駐車場を利用

隣接施設「末廣農場」営業時間:

9:00〜18:00(カフェレストランは9:00〜17:30)/月曜休館

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